新型コロナ禍の東京で、人口が増えた区、減った区
23区の人口にも新型コロナが影響
東京都の人口は、2020年以来、新型コロナウイルスの影響を大きく受けています。
新型コロナウイルスの流行地である東京都への転入が減り、他県への転出が増えました。
その影響で、2021年2月には、24年振りに、前年の同じ月よりも人口が少なくなってしまいました。
さらに、2021年3月には、23区(区部)のすべてで、前の月よりも人口が減る事態となっています。
しかし、資料をていねいに見ると、同じ23区内でも、新型コロナ禍の人口の動きには差があります。
この記事では、東京都の資料をもとに、23区の人口の動きの特徴を紹介します。
なお、人口の動きについて見ている期間は、新型コロナウイルスの流行が始まった2020年1月から2021年3月までの15カ月間です。
23区全体の人口は減っている
最初に、23区の人口の推移を見てみましょう。
23区の人口は、東京都全体の人口の約7割を占めています。
そのため、23区と東京都全体では、人口の動きがよく似ています。
コロナ禍の15カ月で見ると、2020年5月にピークを迎え、その後は減少傾向が続いています。
そして、ここ数カ月は、前年の同じ月よりも、人口が少なくなっています。
もっとも人口が増えたのは「品川区」
東京都の人口が減ったと言っても、15カ月前に比べて、人口が増えている区は9つあります。
実は、23区のうち、約4割は、人口が増えているのです。
一番増えたのは「品川区」で、3,937人も増えました。
品川区は、2020年8月まで人口が増え続け、以後は減少傾向にあります。
それでも、15カ月前に比べると、4千人近くも人口が増えています。
なお、人口が増えた区の一覧は、次の通りです。
- 品川区 3,937人
- 江東区 3,905人
- 中央区 2,201人
- 世田谷区 1,410人
- 台東区 1,284人
- 千代田区 1,145人
- 墨田区 596人
- 渋谷区 532人
- 文京区 145人
人口が減ったのは「江戸川区」
一方、人口が一番多く減ったのは「江戸川区」で、15カ月前よりも、5,340人減りました。
江戸川区の人口は2020年2月をピークに、それ以降は、減少傾向が続いています。
減った人口が多い区は、次の通りです。
- 江戸川区 -5,340人
- 新宿区 -3,573人
- 豊島区 -3,231人
- 大田区 -2,388人
- 板橋区 -2,365人
人口の増加率が高いのは「千代田区」
次に、増減した人の数ではなく、15カ月間の増減率を見てみましょう。
人口の増加率が一番高い区は「千代田区」でした。
2020年1月から2021年3月までの15カ月間で、1.7%も人口が増えています。
千代田区の人口は、ほぼ右肩上がりの状態が続いています。
人口の増加率が高い区は次の通りです。
- 千代田区 1.7%
- 中央区 1.3%
- 品川区 1.0%
- 江東区 0.8%
- 台東区 0.6%
減少率が高い「豊島区」
一方、人口の減少率が一番高いのは「豊島区」でした。
15カ月間に「1.1%」も人口が減少しています。
豊島区の人口は、右肩下がりの状態が続いていましたが、2021年に入って、やや持ち直しています。
上位の5つの区は次の通りです。
- 豊島区 -1.1%
- 新宿区 -1.0%
- 江戸川区 -0.8%
- 港区 -0.6%
- 板橋区 -0.4%
都心部なのに人口が減った「港区」
新型コロナ禍の東京で、人口が増えた区は都心部が多く、他県と県境を接している区は、人口が減っています。
ただし、都心部でも特別扱いされる「都心三区」でありながら「港区」は、人口が増えていません。
同じ「都心三区」の「千代田区」と「中央区」の人口が増えているだけに、不思議な現象です。
今後、どのように人口が推移していくのか、興味深い「区」と言えるでしょう。