認知症になったときに家族が預金を引き出せる「予約型代理人」サービス

[2021/7/27 00:00]

あらかじめ「代理人」を指定できるサービス

三菱UFJ銀行を始めとする、三菱UFJフィナンシャル・グループの各社が、この3月に「予約型代理人」サービスという制度を導入しています。

この制度は、自分が認知症などで金融取引ができなくなったときのために、あらかじめ自分の代わりに取引を行なう「代理人」を指定しておけるというものです。

認知機能が衰えたときに、取引を代行するには、一般には「成年後見制度」を利用します。

しかし、「成年後見制度」は、手間がかかるため、一般には普及していません。

そのため、事前に登録をしておくことで、比較的簡単に取引を代行できる「予約型代理人」のサービスが創設されました。

「代理人」は、口座の入出金、株式などの売却、投資信託の解約など、多くのことを本人に代わって行なえます。

「代理人」になる資格

「代理人」として指定できるのは、基本的には「親族(配偶者または二親等以内の血族)」です。

その他の親族やパートナーを指定することも可能ですが、銀行との交渉が必要になります。

「代理人」になる手順

「予約型代理人」サービスの流れは、次のようになります。

  • 「代理人」となる人を「予約」しておく
  • 認知機能の衰えなどで取引が不可能になった場合は、「代理人」が診断書を提出する
  • 診断書が認められたら、「代理人」の取引が可能になる

「予約」などにあたって、特別な料金はかかりません。

出典:三菱UFJフィナンシャル・グループ

他の銀行でもサービス開始の可能性が高い

今回の「予約型代理人」サービスは、銀行の業界団体である一般社団法人 全国銀行協会が公開した「金融取引の代理等に関する考え方」に沿ったものです。

したがって、他の銀行においても、同様のサービスが開始される可能性は高いでしょう。

これまでは、本人の認知機能が衰えたときに、本人の医療や介護の費用を、家族が引き出すことに制限がありました。

今回のような制度が普及することで、本人の利益になることであれば、家族が代りに行なえる道が開けることを期待しましょう。

[シニアガイド編集部]