現役医師に聞いた、新型コロナウイルスワクチン「3回目の接種」の賛否
現役医師に聞いた「3回目の接種」の賛否
現在、新型コロナウイルス感染症ワクチンは、原則として2回の接種が行なわれます。
しかし、2回目の接種から時間が経つと、ワクチンに対する抗体が減ってしまうことから、3回目の接種を行なうことが検討されています。
3回目の接種は、「ブースター接種」と呼ばれます。
日本では、早ければ年内に医療関係者から始まり、来年には高齢者や基礎疾患を持っている人も対象になる見込みです。
医療サービス会社のメンタルヘルステクノロジーズは、このブースター接種について現役の医師を対象に賛否を聞いています。
2021年10月に行なわれたインターネット調査には、全国の医師1,321人が回答しています。
ブースター接種に8割以上が「賛成」
ブースター接種について、「日本でも進めるべき」とする回答は、全体の82.8%でした。
現時点では、ブースター接種に賛成の医師が多いことが分かります。
賛成の理由は機能を評価
ブースター接種に賛成の医師のコメントを見てみましょう。
- (2回目の接種から時間が経つと)抗体価が下がるため
- 感染予防には必要だから
- より効果を高めるためにできることはするべき
- 年一回の定期接種にすべき
- 重症化予防に関する一定のエビデンス(事実の裏付け)がある
- 感染拡大の第6波がくるため
最も多い意見は、「体内の抗体価が下がるため」でした。
つまり、ブースター接種によって、新型コロナウイルスに対する抗体値が上がり、感染しにくくなるという機能が評価されています。
特に、感染しやすく重症化するリスクも高い、高齢者や基礎疾患のある人に配慮した意見が目立ちました。
反対の理由はさまざま
一方、ブースター接種に反対する理由は、さまざまでした。
- 長期的な副作用が不明
- 特に若年層の副作用が懸念されるため
- デルタ株では、ワクチン効果が明解でなかったから
- ここまで感染者が減った現在は不要
- 自然収束する頃であるし,インフルエンザのように治療薬開発に力を入れるべき
- 時期尚早。2回目接種完了割合で90%以上を達成する事を目標にして、その時の蔓延状況を見てからにすべき
まず、副反応があることや、ウイルスへの有効性など、ワクチンが持つリスクの高さを指摘する声があります。
そして、流行が収まっている現状から、今の時点でブースター接種が本当に必要なのか慎重に検討すべきだという意見があります。
例えば、ブースター接種を高齢者と基礎疾患のある人に限定する手もあるでしょう。
さらに、有望な治療薬が登場していることから、ワクチンによる予防ではなく、治療に力を入れるべきだとする意見もありました。
最初に述べたように、日本ではブースター接種が一般に行なわれるとしても、来年以降になります。
すでに自分や家族が2回目の接種を終えているならば、年内に予想されている「第6波」の状況も見ながら、「ブースター接種」を行なうべきかどうかを考えておきましょう。