第25回:SNSを使った葬儀情報の発信、葬儀社はどう見ているか

[2018/6/27 00:00]

家族が亡くなったとき、親族や生前付き合いのある人にどうやって伝えますか。

最近はメールやLINE、SNSの投稿などを使う手もありますが、どれだけの人が使っているのでしょう。また、使う際の注意点も知りたいところです。

葬儀情報の発信について、葬祭業界に取材しました。

死と葬儀の報せは対面から電話、ファクスと変化してきた

筆者の身の回りを振り返ると、最近はインターネットを通して知人の訃報に接することが珍しくなくなったように感じます。

Facebookのタイムラインを眺めていると家族による代理投稿で葬儀の情報が目に入ることがありますし、親族からの第一報がLINEということも経験しました。

管理人さんが亡くなった闘病ブログの最後の記事が、訃報と葬儀の告知という例もいくつか思い浮かびます。

かつて地縁が濃かった時代には、亡くなった人の家から近隣にその死を伝える2人組を出す習わしを持つ集落が全国にありました。

その後、郵便網や電話網の発達で遠方に暮らす縁者にも情報が届けやすくなり、電話やファクスが訃報伝達の主流を担うようになったと言われています。

いまの時代、メールやダイレクトメッセージ、ブログ、SNSなどのネット媒体を使えば、より手軽で即時的な伝達ができそうですが、新しすぎて様式やマナーが確立していない側面もありそうです。現場の状況をみてみましょう。

ネット媒体の利用は首都圏、家族親族間を中心に増加傾向

全国の葬儀社と冠婚葬祭互助会、葬儀仲介サービスの計28社にメール取材を申し込んだところ、匿名を含めて12社から回答をいただきました。

それによると、ネット媒体が訃報や葬儀情報の告知に使われるケースは、おしなべてみると「程度は不明ながら、増加していると思われます」(全国展開の葬儀社)ということです。

ただし、増加を実感しているとの回答は首都圏に集中しており、他の地域では「滅多にございません」(さいき葬祭、広島)、「準備は整えていますが、ご要望をいただいたことはありません」(大阪の葬儀社)、「関東近郊の提携葬儀社の話では、目の届く範囲ではいまだに直接お電話にて告知される喪家様が多いようです」(よりそう)といった回答が多勢。地域による温度差があるようです。

首都圏でも企業によって増加感は様々で、「急速に増えております」(アーバンフューネスコーポレーション、東京)という声もあれば、「いまだにファクスでのお知らせが主体になっていると感じます」(えにし、東京)という声もあり、一様ではないようです。

また、「一般に向けた告知は分かりませんが、親族間ではLINEやメールでの伝達が広まっているのは実感しています」(東京の葬儀社)と、喪主との関係性が深い間柄ほどネット媒体が利用されていることを示唆する回答もいくつかありました。

静観のスタンスが多数、一部は利便性から推奨

そうした動静があるなかで、各社はネット媒体の活用をどう捉えているのでしょうか。

多数の企業は「喪家から希望があれば認めています」(お葬式のひなた)ということでした。

喪家が普段からメールやLINEを使っていれば使うのがベターだし、不慣れな親族や会葬者が多そうなら控えたほうがいいというスタンスです。

ただ、押しつけのない範囲で推奨しているという声も少なからずあります。「Facebookなどを使用している方が多い場合は、活用は利便性を考えて前向きにお勧めしております」(鈴木葬儀社、東京)、「葬儀の知らせはお別れできないリスクをなくすためには広く知らせるのがよいので、選ばないのが一番ストレスがからない方法ですよと伝えています」(佐藤葬祭、東京)などの回答が象徴的です。

ほかにも、自社制作のメルマガで「あらゆる手段を活用しよう」とネット媒体の活用を促している冠婚葬祭互助会の話も聞きました。また、全国に支店のある家族葬のファミーユは地域ごとに取り組みに違いがあり、宮崎県では自社サイトで葬儀情報を掲載するサービスを実施しているそうです。

家族葬のファミーユの「ご葬儀のご案内」ページ。いまのところは宮崎県エリアのみの提供となる

今後こうしたネットを使った葬儀告知の取り組みは、増えていくのではないかと見ています。

鎌倉新書が発表した「いい葬儀 第3回お葬式に関する全国調査」(2017)によると、葬儀に関して「誰を呼べばいいのかわからなかった」と「故人に所縁のある方が来られなかった」という後悔をしている人が1割以上いるそうです。

近縁者中心の「家族葬」や火葬のみを行う「直葬」が増えて会葬者が漸減するなか、ネット媒体の活用によって本来の会葬ニーズを呼び起こす――そうした効果を期待する声も匿名で聞きました。

鎌倉新書「いい葬儀 第3回お葬式に関する全国調査」(2017)の「葬儀に関しての悔い(複数回答)」グラフ。全国の40歳以上の男女約2,000人が回答している

個人情報の開示範囲には細心の注意を

一方でネット媒体を使うことに慎重な意見もあります。

さいき葬祭の回答が示唆的でした。「公開範囲が限定できないメディアなどの使用は我々で責任がとれないこともありますし、必ずしも伝えたい相手の目に触れないこともあります。なので、知らせるべき方には直接通知するほうが安心だと伝えています」

葬儀情報には故人の氏名や葬儀会場のほか、喪主の氏名や連絡先が含まれることが多いです。それを全公開設定のブログやSNSに掲載するのは、やはりそれなりのリスクをともないます。

公開性に関しては、今回いただいたほとんどの回答からは、細心の注意を払うようにとのニュアンスが読み取れました。

Facebookなら公開範囲を友達限定にする、LINEなら伝えたい相手に個別に送るか専用のグループをつくるといった意識が大切でしょう。

そして、媒体によっては「必ずしも伝えたい相手の目に触れない」という特性も理解して活用しなければなりません。

ネット媒体の活用について社を挙げて推奨しているといううアーバンフューネスコーポレーションも、「お客様には『お電話での確認を必ずお願いします』とご案内しています。メールは便利ですが、受信に気づかない場合もあります。大切な連絡ですから、一言お電話でお伝えすることで伝え漏れを防ぎ、お相手への気遣いにもなるかと考えています」と助言しています。

メールやLINE、SNSなら相手の都合を気にせずに送信できますし、文面のコピーや返信管理も簡単です。一方で、滅多にパソコンやスマホを開かない人もいますし、既読しても返信を忘れてしまうケースもあります。

先方の傾向や関係性を鑑みて二重三重の伝達方法を組み合わせるのが理想的といえるのではないでしょうか。

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古田雄介(ふるた ゆうすけ)
1977年生まれのフリー記者。建設業界と葬祭業界を経て、2002年から現職。インターネットと人の死の向き合い方を考えるライフワークを続けている。書き手が亡くなった100件以上のサイトを追った書籍『故人サイト』(社会評論社)を2015年12月に刊行。2016年8月以降、デジタル遺品研究会ルクシー(http://www.lxxe.jp/)の理事を務めている。2017年8月にはデジタル遺品解決のための実用本『ここが知りたい! デジタル遺品』(技術評論社)を刊行する。

[古田雄介]