第44回:2020年12月まで見据えて、デジタル資産をすっきりさせよう

[2019/12/25 00:00]

今年も残すところわずかとなりました。何かと忙しい時期ですが、散らばりがちなデジタルの持ち物を整理する格好のタイミングでもあります。少しの手間で効率的に掃除してみませんか。

昨年末に掲載した「2019年の動向も見据えつつ、デジタル資産を大掃除」を、最新のデジタル資産回りの動向を見据えてアップデートしています。

ステップ1…「大切なもの」「保留」「不要なもの」に振り分け

まず3つのメモを用意しましょう。デジタルでも紙でも構いませんし、1ページを3分割してもいいです。それぞれに「大切なもの」「保留」「不要なもの」と付けて、下記の項目に該当する持ち物を該当するメモに書いていきます。

たとえば、「メインスマホのパスワード」なら今後も必要でしょうから「大切なもの」メモに書き込んで、「3月くらいに一度注文したショップの会員情報」があったら、今後も使うかどうかを判断したうえで該当するメモに情報を残すといった具合です。

網羅しようとすると人によっては膨大な時間がかかると思いますが、完成度を重視するよりできる範囲で実行することに重きをおきましょう。

下記の項目に沿って、だいたい20~30分くらいで済ませてしまう(その範囲で切り上げる)のがお勧めです。昨年や一昨年に作成したメモが残っている人は、それを土台にしましょう。紙のメモなら変更や追加を赤ペンで追加するのもいい方法だと思います。

  • 【1】デジタル機器のログインパスワード
  • 【2】ユーザーIDとそのパスワード
  • 【3】ネット上の金融資産の情報
  • 【4】利用しているチャージ型○○ペイ
  • 【5】利用しているサブスクリプションサービスの情報
  • 【6】SNS、ブログ、ホームページの情報
  • 【7】無料サービスのアカウント情報
  • 【8】その他、家族や同僚が求めるデータ
3つのメモの入力例。Windowsパソコンのメモ帳を使ってみた

機器の鍵とユーザーIDは優先的に把握する

『【1】デジタル機器のログインパスワード』はスマホや携帯電話、パソコン、外付けHDDやUSBメモリーといったデジタル機器のログインパスワードが該当します。鍵をなくしても初期化しても構わないものやパスワードが不要なものは、「保留」にまとめてもよいですが、メインで使っているものはデジタル資産のなかでも最重要な情報となるので「大切なもの」に置きましょう。

『【2】ユーザーIDとそのパスワード』はネットを経由して端末をまたいで使うユーザーIDです。主要なものは、Apple IDとGoogleアカウント、それにMicrosoftアカウントでしょうか。デジタル機器にログインできなくなったり、故障したりしたときのバックアップにもなるので、メインで使っているIDはやはり「大切なもの」に記載しておきます。

以上は、デジタル環境における鍵や身分証明書のようなもの。そこまで数量が増えるものでもないので、管理は比較的しやすいと思います。注意を払いたいのが、【3】から【5】のお金関連です。

お金関連はチャージ型○○ペイをしっかり押さえる

『【3】ネット上の金融資産の情報』はネット銀行とネット証券口座情報や、ネット保険の契約を含みます。本質的には従来の金融資産と変わらないですが、オンラインベースのサービスは可視化しにくく、使用頻度が低いと本人も忘れてしまいやすい特徴があります。2019年1月から休眠預金等活用法が本格稼働しているように、死蔵されている預金口座は年々増えています。ほとんど触っていない口座が見つかったら、この機に「不要なもの」に入れて処分を決めてしまいましょう。

ここには仮想通貨(暗号資産)も含まれます。金融庁に登録している取引所を通して所持している場合はトラブルが生じた際のサポートの枠組みが整備されつつありますが、自らウォレットを持っている場合は誰も助けてくれません。価値の変動も激しいので、少しでも所持している場合は徹底して洗い出すのがベターです。

『【4】利用しているチャージ型○○ペイ』は2019年に一気に存在感が大きくなったデジタル資産といえます。注意したいのは一旦お金をチャージして使うタイプです。この連載の「故人が残した「○○ペイ」の残高は相続できるのか」でも言及したとおり、本人が放置したままでいると塩漬けになり、万が一死んでしまっても家族が気づかなければ残高もろともアカウントが消滅してしまう立て付けのものが多くあります。少しでも残高がある○○ペイがあれば、「大切なもの」にまとめておきましょう。

『【5】利用しているサブスクリプションサービスの情報』のサブスクリプション(定額固定料金)サービスもここ数年でじわじわと存在感が増していますし、バリエーションも増えてきています。Apple IDやGoogleアカウントなどと紐付いたものは、スマホの設定ページにあるアカウント情報などから契約中のサービスを一覧してまとめてチェックできます。そのほかの契約もスマホとパソコンのアプリ一覧や、支払いメールなどから確認できると思います。

iPhoneは「Apple ID(ユーザー名)」-「サブスクリプション」、Androidは「Playストア」-メニューアイコン-「定期購入」で定期サービスが確認できる

個人情報の扱いはこれまで以上に慎重に

『【6】SNS、ブログ、ホームページの情報』は、放置気味であってもコミュニケーションツールとして機能する側面があるので、極力残す方向で検討するのがベターだと思います。不要かなと思っても、わずかでもつながりが残っているなら、とりあえず「保留」にすることをお勧めします。

『【7】無料サービスのアカウント情報』は、ショッピングモールや一度利用したサービスの会員登録などです。基本的には放置しても実害はありませんし、ピックアップしたら切りがないという人も少なくないと思います。ただ、国際的にもIT企業の個人情報の扱い方が大きく変動している最中です。

2020年1月には巨大IT企業が本拠を置く米国カルフォルニア州で消費者プライバシー法(CCPA)が施行されます。企業による個人情報の利用方法に一段と厳しい規制がかかり、日本国内のサービスにも何らかの影響を与える可能性が大きいです。国内でも2020年は個人情報保護法の改正が計画されていますし、民間でも情報銀行サービスの整備・普及が進むとみられています。

いずれにしろ、個人情報に関する常識は一段と深度を増すのが確実といえるでしょう。サービスの利用規約が変わるたびに判断する面倒を嫌うなら、今のうちに気づいた範囲で解約するのがスマートかもしれません。

さて、ここまでまとめたら、あとは末尾に『【8】その他、家族や同僚が求めるデータ』を足すだけです。自分に万が一のことがあったときをシミュレーションして、「これだけは家族や同僚に伝わるようにしておきたい」といった情報があれば「大切なもの」メモに書き足しましょう。

ステップ2…「大切なもの」メモを紙にして、預金通帳と一緒に保管

メモが完成したら、「大切なもの」メモは預金通帳などと一緒に保管しておきます。過去のメモと混同しないために、記入日を記載しておくことは必須です。

デジタルのままでは、自分の身に万が一のことがあったときに家族が目にするための障壁が高くなってしまいます。物体的な重要書類の側に物体として保管しておくことが重要なのです。

ただし、IDとパスワードをそのまま併記しているのはセキュリティ上不安があります。パスワードを省くか、該当部分の表裏に修正テープを走らせてマスキングして安全性を確保しましょう。「万が一のとき、スマホのロックを開くのは誰だ?」で紹介した「スマホのスペアキー」の応用です。

預金通帳と一緒に「大切なもの」メモを保管する

ステップ3…隙をみて「不要なもの」をどんどん削除

あとは「不要なもの」リストにある項目を順次潰していきましょう。ファイルや履歴なら削除すればいいですし、契約しているサービスなら解約手続きを経ればよいでしょう。ものによっては平日の手続きが必要であったり、タイミングとして年明けにしか動けなかったりということもあるかもしれません。

ただ、削除すると心に決めていれば、あとは動くだけ。このあたりは無理のないスケジュールで処理していけばいいと思います。


2020年は東京五輪・パラリンピックが開催されます。街頭でもネットでも国際的なコミュニケーションを意識することが多くなるでしょう。そして、祭の後が訪れます。366日が過ぎたあとも快適なデジタルライフを続けるために、ちょっとの掃除で処理できるモヤモヤは2019年のうちに取り除いてしまうのが得策です。


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古田雄介(ふるた ゆうすけ)
1977年生まれのフリー記者。建設業界と葬祭業界を経て、2002年から現職。インターネットと人の死の向き合い方を考えるライフワークを続けている。著書に『故人サイト』(社会評論社)、『ここが知りたい! デジタル遺品』(技術評論社)など。2020年1月に、『スマホの中身も「遺品」です』(中公新書ラクレ)を刊行する。

[古田雄介]
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